「美術は苦手」「アートは難しくて分からない」という日本人は少なくありません。しかし、絵を描くのが好きか嫌いかという1つの尺度で、美術という科目を捉えてほしくはありません。また、「美術」を掲げていますが、この授業の中では「能楽(能と狂言)」「文楽」「落語」といった日本の伝統芸能をはじめとして、広く芸術文化を学ぶ場でもあります。また、社会と密接な関わりを持つ「デザイン」についても学んでいます。
■ 芸術を愛する心を育む
小中学校時点では、絵画や造形の技術を磨くことよりも、「美術が好き」と言える子どもに育ってもらうことが大切だと考えます。芸術を愛する心が育つきっかけが、ほんもの寺子屋の授業の中での学びであったら嬉しく思っています。
■ 作家を知ることで他者を知る、多様性を知る
美術の授業では作家の人生にスポットライトを当てて、伝記を読み込むように作家とその作品について学ぶ機会を作っています。欧米と比べて、美術・工芸における作家への日本人一般の評価は著しく低く感じられます。
作家が心を込めて作った作品に対して、我々もまた心を込め、敬意を込めて鑑賞する姿勢が大切だと思います。これは、子どもたち自身が制作した作品を鑑賞し合う際も同様です。他者との違いを認め合うという「人と人の相互理解」が、美術の授業の中でも図れると考えています。
■ ⾒る⼒を鍛え、鑑賞⼒を育む
美術における「鑑賞」は、国語における「読書」にあたると考えています。美術鑑賞を通じて、子どもたちが
「読み解く力」を育むことを目指しています。ただ作品を見るだけでなく、作品について感想や説明、簡
単な批評ができることは、読書における「読書感想文を書く」ことに相当すると言えるでしょう。
これまで行ってきた授業例
・お絵かきレッスン
・切り絵
・色相環、遠近法、構図など
・模写、デッサン
・鬼のお面を作ろう
・だまし絵、トリックアートの鑑賞
・能楽(能と狂言)の紹介
・人形浄瑠璃文楽の紹介
・落語、講談の紹介
・新春を祝う 日本の文化・芸能
・鑑賞と作家解説(葛飾北斎、岡本太郎、ピカソ、モネ、ゴッホ等)
・落書きアート(キース・ヘリングからバンクシーまで)
・Tシャツデザイン
・夏祭り露店のロゴマークを考える 等