このパンフレットは、1 人の生徒の想いから生まれました。
ほんもの寺子屋の公式パンフレットが仕上がってから数日後、
生徒の A さんから次の提案がありました。
「すごくしっかりした内容のパンフレットができて、
これは大人向けとしてとてもいいと思うんですが、
子どもに向けたものではないですよね?
父の職場のまわりでも、
不登校の子が多いことをこの前知ったんです。
そのご家族のお子さんに渡せるようなパンフレットが
あるといいなぁと思うんですよね。」
そんな素敵な提案がありましたので、
授業に組み込んで生徒主導のパンフレットを作ろうと考えました。
こうして、生徒自身で問いを立て、
それを解決するためには何をしたらよいのか
考え行動することが、
本当に役に立つ勉強だと思います。
国語の授業では、
パンフレットの屋台骨となるキャッチコピーまわりの
言葉のアイデア出しを行いました。
「学校に行っていない子どもたちが
『行ってみたい!』と思ってくれるような言葉」
「『ほんもの寺子屋』をうまく言い表している言葉」
を挙げてくださいと、
ブレインストーミング方式で
思いつく限りの言葉を出していただきました。
その中でもとりわけ光る言葉が、
B さんの出してくれた「自分でいられる学校」でした。
これは彼女の実感そのものだそうで、
以前に通っていた小学校では、
いじめられたり仲間はずれにされないよう、
まわりを氣にしている自分がいたと。
彼女は「ほんもの寺子屋」に通い始めて、
まわりの目を氣にすることなく、
素の自分を出してもいいという安心感を感じながら
過ごせるようになったといいます。
また、ここで自分らしくいられることで、
家でも以前より一層自分らしく
いられるようになったと思う、と話してくれました。
その後「みんなの時間(自治)」で編集会議を行いました。
学校や塾といった施設のクリエイティブをまとめた事例集を開きながら、
子どもたちに見学に来てもらえるようなイメージと文章を
1時間以上かけて検討しました。
そこで出されたアイデアをもとに、
グラフィックデザイナーでもある前田がレイアウトをしたのが、
このパンフレットです。
生徒たちの氣持ちを最大限に、大人の意図は最小限に。
不特定多数の人に撒くようなペラのチラシでもいいのですが、
A さんの想いを形にするなら、
「あなたに来てもらいたい」という
1対1のコミュニケーションの中で渡せるものがよいだろうと思いました。
そこで、ウエディングの招待状やバースデーカードで
一般的に用いられる、横長の2つ折にすることで、
グリーティングカードを開くときのようなワクワク感をつくりました。